グレー真珠 ブルーの真珠について

2016年6月22日

グレーパール ブルーのパールについて

真珠がブルーに見えるわけ

真珠の色がブルーに見えるものは、
<レーリー散乱>という光の散乱現象によるものです。
これは、青空の色を説明するために Rayleigh(1842-1919)が確立した理論で、「光の散乱現象の中で、散乱している微粒子が光の波長に比べて小さい場合起こる」というもの。簡単にいうと、空が青く見えたり、タバコの煙が紫青色に見えたりするのと同じ原理です。真珠の場合、「境界層有機物」といわれるものが黒褐色であるときにブルー真珠が生まれます。これは、反射および散乱で起きる真珠の表面色が黒褐色で吸収されること、およびバックグラウンドが黒のため判別しにくくなるのに対し、真横(視線に)からくる光による細かい粒子の散乱光としてブルーが強調されてくるものと考えられています。
ちなみに、この際の散乱は明らかにレーリー散乱であって、次式に従います。
I=π2V2/12λ4・(ε-ε′)/ε′・(1+cos2θ/2)
I: 散乱光の強さ
θ:観測の方向
1:粒子から観測点までの距離
V:粒子の体積
ε:粒子の電媒常数
ε′:基質の電媒常数
「応用物理学会誌、1987、大森論文より引用」

放射線照射による真珠のブルー化の発見

通称「コバルト」とか「焼き」と呼ばれる、
放射線照射によるブルー化の原理は次のように説明されています。
放射線(強いエネルギーを持つ電磁波)を真珠に照射すると、内部の核が褐色化します。その褐色化した核が真珠層越しに透けて見えるため、真珠そのものがブルーに見えるのです。問題は「なぜ核が褐色になるのか」ということですが、これは以下の2つの理由で説明されています。
1.核は、淡水産の貝殻から作られる。
2.海水産の貝殻に比べて、淡水産の貝殻は微量金属であるマンガンの量が
一桁オーダー多く含まれており、そのマンガンが放射線で酸化マンガンに変化し褐色化する。しかしながら、「なぜ、淡水産の貝殻は海水産の貝殻に比べマンガンが多く含まれているのか?」ということになると、学問的にはまったく解明されていません。にもかかわらず、この着色法は古くから真珠業界で行われています。方法が先行し、後から理由付けが行われるという大発明のパターンがここに見られます。
ブルー真珠はどんな貝から採れるのか?

ブルー真珠は、アコヤ貝、白蝶貝、黒蝶貝、ヒレイケチョウ貝(淡水産)など
養殖真珠が採れるすべての貝から産出されます。
その理由は、真珠内部に異物が巻き込まれていれば、
その異物そのものがブルー色の発色原因物質になるからです。
ブルー系真珠のつくり方

まず、真珠をつくるためには「挿核手術」という作業を行ないます。
これは、核とピース(外套膜切片)を貝体内の生殖巣に入れる作業です。
やがてピースは成長し、核をすっぱり覆う袋状の組織になり、真珠袋が完成します。
真珠袋が出来ると、貝は核に向けて真珠層を分泌しはじめます。
これが、養殖真珠完成へのスタートになります。
文章で書くと、非常に簡単に真珠作りができるように思えますが、
実際にはいろいろな障害が起こります。
まずピースが核をすっぽり覆う袋状の組織になる前に、
生殖巣内部の臓器の破片を取り込んでしまうことが考えられます。
核と臓器の破片を覆う真珠袋になるわけです。
あるいは核をすっぽり覆う袋状の組織になったとしても、
分泌活動に異常をきたせば、真珠層とは異質な
有機物や稜柱層などを核の上に巻いていくということも考えられます。
このように、
(1)ピースから真珠袋への成長過程の中で、
(2)真珠袋の初期分泌活動の中で、有機物や異質な層が生成、
あるいは取り込まれてできた真珠がブルー系真珠になるのです。